6年生に贈るブックトーク

卒業を間近に、特別な思い入れをもって作ったブックトーク。
1年生の頃はやんちゃだった子達。
初めてのブックトークでは
谷川俊太郎の『あ』をいろんな『あ』であそびました。

成長し、
いつの間にか私の背丈を追い越した男の子もいれば、
ストレートに髪の毛をおしゃれにのばした女性!になりつつある女の子も。

本の箱を下げて校庭につくと、
駆け寄って一緒に本を運んでくれ
『今日は何の本??』と目をキラキラさせて話しかけてきてくれたものです。


子どもの成長とともにある司書を目指していたわたしにとっては
はじめての卒業生達に贈るこのブックトークは
悩みに悩み
試行錯誤してつくったもの。

シナリオを公開しちゃいます。(一部省略してますが・・・)


目で見ることも、耳で聞くことも、手で触ることもにおいをかぐこともできないもののおはなし。
ただ、感じることはできて、いつもみんなと一緒にいるもの。
世界ができる前からあったもので、
今までずぅっと続いてきたもの。
そして、
きっとこれからもずっとずっと続いていくもの

一体なんだと思いますか?

時間です。

今日のブックトークのテーマは『時間』です。

時間を計るもの、時計。時計には正確さが必要ですが、
正しい時間を職業にした人がいます。いったいどんな仕事でしょうか?
「メアリースミス」

メアリー・スミス

このおはなしは、本当のお話。
夜明け前だというのにメアリースミスはもうお出かけです。
寝静まった家を1軒2軒と通り越し、
突然立ち止まると、ポケットからしわしわでカチカチの豆を取り出す
その豆を一粒チューブにこめまて、

プッとひとふき。
カチン。
パン屋の窓に当てます。
そうして、パン屋さんがおきてくる。(このパン屋さんなぜかありがとうって言うのです)

次にメアリースミスが行った所は、汽車の車掌の家。
また豆を飛ばします。
パチン。
車掌は窓から顔をだしますが、また一眠り。
その鼻の頭にも、パチン!
イテテテテ!
メアリースミスはまだまだ行きます。せんたく屋、さかな屋
そうして最後は市長さんの家、カチン、コツン、パチン。

メアリースミスはいたずらをしているのではありません。
仕事をしているのです。

さあ、何の仕事をしているのだと思いますか?

メアリースミスの仕事はノッカーアップ。
信用できる目覚まし時計が安く手に入るようになるまで、
ノッカーアップ(めざましや)という職業があったのです。
頼まれた時間に起こして回る仕事。
起こしてもらった人は窓から顔を見せないといけません。
ノッカーアップで一番多かったのは、長い棒で窓をドンドンたたく方法でしたが、
メアリースミスはゴムチューブに豆をつめるというおもしろい方法で、
町のみんなを起こして回っていたんですね。

さて、時間は感じることができます。
1分を測ってみたいと思います。(ストップウォッチ)

1分という時間、みんなは短いと思いましたか?
それとも長いと思いましたか?
『2分間の冒険』

二分間の冒険 (偕成社文庫)


*この本は、本文にあるクイズを出しながら、あらすじを紹介しました。
・・・結構覚えるのが大変でしたが・・・

クイズに子ども達は大騒ぎ。
あーだこーだいいながらトンチを働かせていましたよ!


みんなは時間の経過を「感じる」ことができますが、
動物達は時間をどんな風に感じているのでしょうか?

クイズ!!
この中で一番長生きな動物はどれでしょう?
①ゾウ
②ネズミ
③人間
(*答え:ゾウ)
『絵とき ゾウの時間とネズミの時間』

絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集)


ではこの本からヒントです。
私たちの心臓は1分間に60回から70回ドクドクいいます。
ネズミはなんと600回。
でも、ゾウは30回。
ドキンと打つのに2秒もかかるんだって。大きいものほど、心臓はゆっくり打ちます。

でもね、
一生の間に心臓がドクドク言う回数は15億回。
実は、これはゾウもネズミも人間もおんなじだそうですよ。

最初の答え、わかったかな?

みんなは何歳まで生きたい?
そんなお話をしてくれるのはこのおじいちゃんです。
「いのちのおはなし」

いのちのおはなし (講談社の創作絵本)


おじいちゃんといっても、命の近くでお仕事をしてきた人。
この先生、今でもちゃんと患者さんを診ているお医者さんです。
日野原重明先生っていう95歳のおじいちゃん。

この先生が黒板の左端に0と書いて、どんどんと横に線を伸ばしていきました。

どんどんどんどん、線は伸びていきます。
そうして、右端に100と書き、こういいます
「みんなの年齢はここ。わたしは95歳、ここです。みんなは何歳くらいまで生きたいですか?」
きかれたみんなは答えます。110歳!100歳!
みんなも先生のように長生きしたいと思っているようです。

続けて先生はこんな質問をしました。
「命って何でしょう?
そう生きているってことですね。
では生きているってどういうことだとおもいますか?
いのちはどこにあるとおもいますか?」

この本の中で、実際にクラスのみんなに質問をしながら
ブックトークをすすめました。

命は時間
命は時間

心に響いたようでした。

みんなにはきらきら光る、素敵な時間がたくさんたくさん待っているはず。
一人ひとりいろんな命の時間を刻んで行ってほしいな。

最後に選んだのは「100万回生きたねこ」

100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))


定番ですが、ここに落ち着きました。

今思うこと。

1冊の本との出会いが、
その子の生きる力になることもある。

子どもの可能性は無限大。
未来がキラキラ輝く素敵なものであってほしい。


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